目の病気

小児の近視

***低濃度アトロピン点眼(マイオピン点眼液)による近視進行抑制治療

近視が進行して強度近視になると、裸眼での日常生活が不便になるだけでなく、網膜剥離、緑内障、黄斑変性の危険性が高くなります。いったん近視になりますと治すことはできません。そのため、本治療は近視進行の抑制を目的に毎日就寝前に低濃度アトロピンを点眼するものです。本治療は近視進行を抑制することを期待するもので、近視を減らすことはできませんし、近視の進行を完全に止めるものではありません。

費用

画像検査と診察で毎回3000円、点眼薬は0.025%マイオピンが1本4000円、0.01%マイオピンが1本3000円です。本治療は自由診療のため、検査、診察、および薬剤に健康保険は使えません。

期間

近視の進行が速い概ね小学生の間です。

 

あなどると怖い目の病気

***急性原発閉塞隅角緑内障

症状:60才代の女性

来院理由は?:突然の左目の激しい痛み 視力低下 

 

経過

画像起床時に左眼の激しい痛みと充血、頭痛、吐き気がした。吐き気が強かったので、内科の受診も考えたが、かすみ目もあったので、まず眼科に受診したほうがよいと考え当院受診。

受診時、左眼は、充血して、角膜の浮腫(むくみ)も出ており、正常な人で20mmHg以下であるはずの眼圧(目の中の圧)が66mmHgとあきらかに上昇していた。緑内障の急性発作と考え、まず、眼圧を下げるために、利尿剤の点滴や、炭酸脱水酵素阻害剤の内服、縮瞳剤の点眼をしてもらったところ、眼圧は16mmHgまで下がり、視力も回復し、眼痛、吐き気などの症状もなくなった。

しかし、隅角は依然狭く、レーザー治療(レーザー虹彩切開術)をした。幸い、発作直後に治療をしたので、視神経の障害は認められず、視野の異常もなかった。レーザー治療後は、再び発作を起こしておらず、眼圧も正常にコントロール出来ています。

***なぜこのような病気に?

画像目の中には、房水(栄養分を豊富に含んだ水)という体液がながれていて、この房水はシュレム管(隅角にある排水溝)から目の外に出ます。

房水が作り出される量と排出される量が一定にコントロールされることで、目の中の房水量が一定となり、目の中の圧も正常に保たれています。

しかし、隅角がもともと狭い場合、ストレス、散瞳、白内障の進行などの理由で、突然、排水溝が閉鎖され、目の中の房水が、どんどんたまっていくことで、眼圧が急激に上昇し、急性発作が起こったと思われます。               

診療方針

急性原発閉塞隅角緑内障は、遠視のある比較的高齢の女性に多く、急性発作をおこすと、眼圧は40~80mmHgと上昇し、急激な眼圧上昇によって、眼痛、充血、角膜の浮腫による目のかすみ、時には、吐き気や頭痛などの全身症状もあらわれます。

全身症状から、間違って内科を受診することで、発見が遅れることもあります。早急に、点滴や内服、点眼によって眼圧を降下させ、外来でのレーザー治療や、手術が必要となります。

レーザー治療や手術をすると、通常は再び発作をおこすことはなく、治療後の経過は良いですが、治療が遅れ、高い眼圧の状態が続くと、緑内障視神経症をおこし、視野障害をおこしてしまう危険性があり、最悪の場合、失明する可能性もあります。               

ひとこと

遠視のある高齢の女性は、隅角が狭くなっている割合が高く、白内障が進行するとさらに隅角が狭くなる傾向があります。隅角は狭くても発作を起さない限り症状はありません。隅角が狭い場合、発作予防のためレーザー治療や白内障を行うこともありますので、一度隅角検査などの詳しい検査、診察をおすすめします。


***アカントアメーバー角膜炎

症状:20才代の男性

来院理由は?:突然の左目の激しい痛み 視力低下

 

経過

画像2週間タイプの使い捨てソフトコンタクトレンズを装用していたが、1週間前より左眼の充血がおこり、昨日より右眼も充血して、眼の痛みもおこったので来院。

来院した時には、視力が、右(0.2)左(0.8)と低下し、両眼の角膜上皮(角膜の一番外側)の障害は少ないものの、結膜の炎症が強い状態でした。

抗生剤点眼を開始し、2日後には、一旦、角膜上皮の障害はよくなったが、充血は治らず。2週間後には、ひどくなり、結局、両眼アカントアメーバ角膜炎で約1ヶ月入院しました。退院後、角膜に瘢痕(あとかた)が残りましたが、視力は両眼(1.0)に回復しました。

***なぜこのような病気に?

画像アカントアメーバーは、広く淡水・土壌に生息していますが、水道水にもいます。コンタクトレンズの洗浄保存液のかわりに水道水を使っていたり、洗浄保存液を交換していなかったり、レンズケースが汚れているとコンタクトレンズにアメーバーのような病原体が付着してしまいます。

アカントアメーバー角膜炎は、使い捨てソフトコンタクトレンズの使用期間を過ぎて使ったりするなどのコンタクトレンズを適切に使用していない装用者に多いと言われている重篤な角膜感染症です。

一旦、アメーバーが感染すると、充血、痛み、涙が出るなどの症状がひどくなり、その割には、角膜の障害の程度が少なく、角膜専門家でも診断に迷うことがあります。               

診療方針

通常、入院して、抗真菌剤(カビの薬)の点滴、点眼や、角膜の病巣掻爬(角膜の病巣部を削る)、プールの消毒剤である塩酸ポリヘキサニドの点眼を投与しますが、特効薬がないため、治療は難しく、治っても視力が良くないことが多いです。
今回のケースは、視力もよく、非常に幸運なケースと思われます。

ひとこと

画像コンタクトレンズ装用者の約3割の方に角膜上皮に障害があると言われていますので、コンタクトレンズ装用者は、アカントアメーバーだけでなく、細菌、真菌感染の危険性もあります。

適切にレンズを使用し、洗浄保存液やレンズケースの使用方法にも注意する必要があります。様々な病気の早期発見のためにも、定期検査を受けて下さい。              

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