硝子体手術について

硝子体とは

目をカメラに例えると、目の一番奥には、フィルムの役目をする網膜があり、水晶体から網膜までの間には、ゼリー状の透明な組織、硝子体(しょうしたい)があります。

硝子体は、眼球の形を保つ役目があり、角膜や水晶体で屈折された光は、硝子体を通って網膜の中心の黄斑(おうはん)に焦点を結びます。

もし、硝子体が網膜を引っ張ったり、硝子体に出血や濁りがあったり、網膜剥離などの網膜の異常をおこした時には硝子体を切除し、治療するのが硝子体手術です。

網膜硝子体疾患の症状

網膜硝子体疾患の代表的なものとして、網膜剥離、黄斑上膜(黄斑前膜)、黄斑円孔、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症などがあり、黒い点や蚊が飛んでいるように見える、ものがゆがんで見える、目のかすみ、視力の低下など症状は様々です。

日帰り硝子体手術

2012年11月に導入したアルコン社のコンステレーション®により、極小切開硝子体手術が可能となりました。実際には25G(ゲージ)というわずか0.5mmの穴を3~4カ所あけ、その小さな穴から器具を挿入して眼内の出血や膜を切除するのが、硝子体手術です。イメージとしては、内視鏡手術と同じような感じです。

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硝子体手術のイメージ
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アルコン社 コンステレーション®

傷口が小さいことから無縫合でおこなうことが可能で、手術時間が短縮され、眼球に与える影響が少なく、術後の回復が早くなります。当院では日帰りで硝子体手術をおこなっています。また、白内障がある場合は、硝子体手術後に白内障が悪化するため、硝子体手術と白内障同時手術をおこないます。

手術前の検査

白内障と同時手術の場合は、白内障の術前検査に加え、眼底写真や光干渉断層計(OCT)で黄斑の状態を詳しく撮影します。OCTはイメージでいうなら、CTのように断面を撮影できる検査で、眼球の詳細な断面図を得ることができ、術前術後の黄斑の状態を詳しく知ることができます。

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正常の眼底写真
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正常の黄斑のOCT画像

また、白内障手術と同様ですが、かかりつけ医から頂いた全身状態の検査データを確認し、さらに手術に必要な採血検査もおこないます。かかりつけ医でお薬を頂いている方は、お薬手帳もご持参ください。

手術前の診察

手術の約3週間前に術前診察をおこないます。白内障と同時手術の場合は、眼内レンズ度数も決定します。

手術日前の準備

目の表面の細菌を減らすために、手術3日前から、抗生物質の点眼をします。

手術当日

・手術当日から眼帯となるため、ご自身での自動車や自転車の運転はお控えください。
・来院予定時間に、できればご家族など付き添いの方とおこしください。
・皮膚消毒の妨げとなるため、お化粧なしで来院してください。
・手術時間は30分~1時間半ですが、かなり個人差があります。術前の点眼、点滴、消毒を行ない術後約3時間後に診察を受けて帰宅となります。
・帰宅後は夜間の緊急電話番号をお伝えしますので、帰宅後不安があればご連絡ください。

手術後の生活と検診

手術後1週間は特に大切な時期です。パンフレットや手術日程表の注意事項にしたがって、お過ごしください。

また、術後1週間は、当院からお伝えする予定通りで受診することが大切です。

当院で治療可能な網膜疾患

当院では、黄斑前膜(黄斑上膜ともいいます)、硝子体出血、糖尿病黄斑症や網膜静脈分枝閉塞症などによる黄斑浮腫に対し、日帰り硝子体手術をおこなっております。

黄斑前膜(黄斑上膜)

網膜の中心、もっとも視力に影響する黄斑に何らかの原因で膜(前膜)が張り、そのために、黄斑が腫れたり、場合により、裂けてきたりして(網膜分離症)、黄斑の形が変形することにより、物がゆがんで見え、視力が下がってくる病気です。

一見、加齢黄斑変性と同じような症状ですが、手術では治療困難な加齢黄斑変性とは違い、黄斑前膜は、硝子体手術で前膜を除去することで改善する可能性のある病気です。

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黄斑前膜の術前のOCT画像
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術後のOCT画像

硝子体出血

網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症などにより網膜の血管が切れて出血し、出血量が多いため、硝子体全体に出血が貯まった状態です。

硝子体が出血で濁るために光が網膜まで透らず、視力が下がります。硝子体を出血ごと取り除き、原因となる出血源を見つけレーザーなどで治療します。

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硝子体出血の術前の眼底写真
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術後の眼底写真(網膜静脈分枝閉塞症)

黄斑浮腫

黄斑浮腫とは、黄斑に水が貯まり、腫れることで、視力が低下する状態です。糖尿病黄斑症や網膜静脈分枝閉塞症などにより黄斑浮腫をおこします。

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糖尿病黄斑症の眼底写真
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黄斑浮腫のOCT画像